ひとつまえの「はなまる」の記事が、あまりにもと言えばあまりにも(笑)だったので、ちょっといったんいつもテイストに戻させてくださいまし。
あのままだとどうにもこうにも落ち着かないっす。自分、昔の人間なんで。不器用なんっす(このキャラ設定は誰だ)。
今月号の「MORE」の連載、「It」でのニノの言葉を読んで、ふふっ、と笑ってしまった部分がありまして。
いやあこの人正直でいい人だなあって。
ニノにとって芸能界は“職場”で、その“職場”で人とコミュニケーションをとるにあたり、たぶんちょっぴり罪悪感を感じながら、二宮さんがやっていること。
「あくまでも、相手の意思で生まれたものを、こっちが受け入れるっていう設定は守りながら、(自分は)何も言わないで、自分のやりたい方向へ相手を誘導したりする」
「誰かに質問されている時に、2~3個先のことを考えながら話しちゃうことが多い。こう言えばこう聞かれるな、とか先読みしてる」
うん、これ、職場ではよくやることなんじゃないのかな、と私なんかは思ってしまったんですけども。
少なくとも自分の稟議を通したいときなんかはとくに。
例えば、仕事で何らかの事態に対処するにあたり、A、B、C、3つの方法があるとします。
それぞれにメリットもデメリットあるけれども、自分としては今後のことも視野にいれるとAでいくのがいちばんベターだと考える。けれども決裁権限は自分にあるわけではない。
となると、最終的には決裁権限をもつ人に「Aがよい」と“思わせる”ことが必要ですよね。
じゃあどうやって「Aがよい」と思わせるか。
それには相手の思考パターン、つまり「この人はこれとこれを比較したらたぶんこっちをとる人だろうな」というのを読んでおいて、“道すじ”をつくるんですね。
そしてそのゴールに「A」がくるように仕向けておく。
わかりやすいように単純化すると、白と黒ならだいたい必ず黒を選ぶ人であれば、まず□と■の選択肢を用意しておいて、
□と■との二択を提示する
↓
■をチョイス(※)
↓
■を選択すると、理論的に次は△と▲の二択になるようにしておく
↓
▲をチョイス(※)
↓
▲を選択すると、理論的に次は○と●の二択になるようにしておく
↓
●をチョイス(※)
そして●=A、としておけば、こちらから「絶対にAで!」と言わなくとも、「決裁権限者の意向で」Aに決まったことになるわけで。
(上記の※印のところは、決裁権限者が自発的に決めたことになる部分)
でも先に言ったとおり、こっち側としては※印のところでどっちを選ぶかはだいたい見えてるわけですから、言葉は悪いですが、結果として相手にはレールの上を走ってもらうことになるんですけども。
ただ騙すわけではないし(やりかたによっては騙すことに近くなることもありますが、私は後々なにか問題が発生したときに責任の所在が問われるのでそこまではしない)、こうすることによって
・決裁権限者の意思を尊重したという形をとることができる(=相手を気分よくさせられる)
・トラブルが発生した場合責任の所在が決裁権限者になる(=自分の身を守れる)
・決裁をもらうまでに時間がかからない(=どっちにとってもメリット大)
と、「win-win」で物事を進めることができるので、本当によく使われる手だと思います。てか私は非常によく使っていました。
そんでもって、これぴったり読みどおりレールの上を走ると、もの凄い快感だったんだなあ。
私の仕事の醍醐味はここにあり、と言ってもようござんしたよ(笑)。だから二宮さん。
「でも、そうやって話をコントロールしても、ほんとうは面白くないよね。っていうか、それが快感だったら性格悪いでしょ。……オレって性格悪いのかなぁ?」
そう言われちゃうと私なぞ極悪人てことになってしまうわけなんですけども(笑)。
“職場”で使うぶんにはぜ~んぜんアリでしょ。
真正面からぶつかっていくだけで生き抜けるほど、職場って甘くないと思うもん。私のところの甘っちょろい世界でもそうなんだから、芸能界なんてよけいにそうよね。
だから、どうどうと胸張って(?)先読みして誘導しなさいな!と私なんぞは思ったのです。
いや、ニノも特別迷いがあるわけじゃないんだろうけど、ときどきふっと、「俺のやってることって……」とかって思うんだろうね。
それ普通だよ、みんなやってることだよ、そう誰かニノに言ってやってくださいな!