さてこのシリーズも、あとは大野さんを残すのみとなりました。
ほかのメンバーのぶんはこちら↓(すげえ書いたな!)
【櫻井翔妄想劇場】
【相葉雅紀妄想劇場】
【二宮和也妄想劇場(詳細版)】
【松本潤妄想劇場】(Jノモウソウゲキジョウ、裏設定その1)(Jノモウソウゲキジョウ裏設定その2)
んでもってこれねえ、J反省をふまえて(笑)、最初から細かい設定を盛り込んだら、ものっそい長くなりそうでどうしよう。
アップしようか悩みましたが、えいや!とりあえずあげちゃえ!と。←いいかげん
ということで、今回大野さんにやってもらいたい役、それは……
「同棲してた恋人にフラレたのをふっきるため、南の島に渡った男」
(がらっと毛色が変わります。ロードムービーちっくな感じ?10-11TOURドームver.の大野さんビジュでお読みくだされば^^)
◆◆◆◆◆
初夏、雲ひとつない、石垣空港。
プロペラ機をおりて空港まで歩いていると、太陽がじりじりと肌を焼いていくのを感じる。
ここからバスに乗って、次に行くのは船乗り場。
汗は顔やからだや茶色い髪の毛をつたい、Tシャツはもうびしょぬれ。背中の荷物がずっしりと重い。
自動販売機で買ったさんぴん茶を口にする。
気のせいか、都内で売ってるジャスミン茶より薄味で、からだに染み渡るのを感じて一気に飲み干した。
飛行機のなかでは、いったい俺の何が悪かったのかな、なんてぼんやりと考えてた。
4年間一緒に暮らしてて、あんな突然去っていくなんて思いもしなかった。
最後の喧嘩では、もうすこし私に関心を持って、私を守って、引っ張っていって、って言って泣いてた。
俺、そういうことできない、どうしたらいいんだろう。
そう口にすると、ふっ、と顔を歪めて笑って、そうだよね、そういう人だよね、ってつぶやいてたっけ。
今のこの暑さと太陽の光の強さは、そういうことを思い出すための思考能力を奪っていく。
それが逆に心地よかった。全部忘れたかった。
ただどこか遠く遠く、いったん全てをリセットできるくらい遠くに行きたかった。気づいたら飛行機に乗ってた。
ありがたいことにというか、こんなときに限ってというか、急ぎの締め切りの仕事もなく。
そもそも自由業だから、好きなときに休んでも、後で仕事がこなくなって自分の首がしめるだけで済む。
バスはいい感じに古びていて、窓から見る途中の風景も心を和ませた。
椰子の木、コンクリートづくりの家、ハイビスカスの花、さとうきび畑。
ああでも、石垣って意外に都会なんだなあ。銀行もスーパーもコンビニもちゃんとある。背の高いホテルも。
これから行くところはどうなんだろう?
船乗り場についた。淡いエメラルドグリーンの水に、大きな船も小さな船もぷかぷか浮いている。
近代的なビジネスホテルが並ぶ目の前に、南国の海の色が広がっている、そのコントラストが面白かった。
チケットを買うためにターミナルに入ると、そこは近代化されていて驚いた。
真新しい電光掲示板が行き先を案内してくれている。
けれどチケット売り場のお姉さんはのんびりとしていた。定員は少なく、乗る直前にならないとチケットは買えない。
列に並んで、おとなしく順番を待って、その切符を手に入れた。
波照間島行き、2便の高速船。
今日は波もおだやかで、それほど揺れないだろう、運がよかったね、と言われた。
外洋をとおるから欠航も多く、なんとか出られたときでもジェットコースター並みに揺れることもあるらしい。
それはそれで面白そうな気もするけれど、まあおだやかに向かえるのに越したことはないのだろう。
買い終わって後ろの列の人に目をやると、南の島にそぐわない女の人がひとりぽつんと立っていた。
いや格好は、Tシャツにコットンの長いスカートにサンダルと、むしろここではしっくりきている。
だけど肌の色がひどく白くて、透き通るようで、目はどこか遠くを見ていて、今にも消えそうな感じがした。
真っ赤なスーツケースを持つ左手の薬指には年季の入ったリング。
ゆるいパーマがかかった長い髪をかきあげると、それはきらりと光った、ように見えた。
ぼうっとその人を見ていたらうっかり目が合いそうになったので、あわててその場を離れた。
出航まであと20分ある。ターミナルのなかに入っている商店で、おにぎりを買った。
外側はかまぼこ、なかにジューシーという混ぜごはんみたいなのが入ってる。黒いのと普通の、ふたつ。
泡盛アイスにも心惹かれたが、とりあえず船に乗る前だからやめておいた。
ここから40分かけて、日本有人最南端の島へ。いざ。
船のなかは意外にも広くて座席がぎっしりとあって、エアコンが効いてて寒いくらいだった。
ふと前を見たら、彼女の後頭部が見えた。
そして島についた。
船を降りたら、いろんな民宿の人やらガイドの人やらが「○○さん~!」と声をあげて客を探していた。
あたりを見回して、今日から泊まる宿の名前が入ったバンを発見し、そこに向かった。
5人くらいが集まってて、焼けたお兄さんがあとひとり来るので待っててください、と言っていた。
こうしている間も、汗がとめどなく流れる。日陰はない。
少し待って、来ました!と言うのでそっちを見たら、見覚えのある赤いスーツケース。
兄さんプラス、先にいた5人、俺、そして彼女がバンに乗り込んだ。エアコンが効いてて快適だった。
宿について荷物をおろし、一息つくと、宿泊客が自由に使っていい宿の自転車で、みんな島を巡りに行った。
俺も回ろうかな、と残ってる自転車を手に取ると、横に彼女がいた。
自転車なんて焦げるのかな、なんて失礼なことを思っていると、こちらに目をくれず颯爽と乗って行ってしまった。
なぜか俺もあわてて自転車を走らせた。
暑い!熱い!さとうきび畑、ヤギ、青空、そして……海が見えてくる!!!
ニシ浜というその海の色は、ほんっとうに綺麗だった。
濃紺とエメラルドグリーンのコントラストが見事で、いつまで見ていても飽きないだろうな、と思った。
このすぐ上の高台にある宿からは、ずうっとこの海を眺めることができるのだろう。
東屋を見つけたので、日陰を求めるべくそこに近づいていった。誰もいない。
すこしひんやりと感じられた。
太陽の光がさえぎられるところは、風が通って気持ちいい。
同じ暑さでも都心とは全然違うな、と思った。とくに海のそばは必ず風が吹くのだ。だから体感温度が心地いい。
もちろん暑いことに変わりはないのだが。
そこに誰かがやってきた。
ふりむくと、赤いスーツケースの彼女だった。
少し離れたところのベンチに腰かけた彼女を見て、やっぱりこの景色から浮きあがって見えるなあと思った。
するとこっちの視線に気づいたのか、ぺこりと軽く会釈された。
こっちもあわてて頭を下げる。
「同じ宿ですね」
むこうから声をかけてきた。
高くて澄んだ声だな、見かけのイメージまんまだ。
そして立ち上がって俺の隣に座った。醸し出す雰囲気が、実は俺よりけっこう年上なのかな、と思った。
「そうですね」
「今日あの宿に泊まる人でひとりなのって、私とあなただけみたい」
「そういえば、あとは女の子3人とカップルでしたよね」
「昔はひとり旅の人ばかりだったのになあ」
「前にも来たことあるんですか?」
「うん。まだ石垣島から飛行機が出ていた頃に、何回か来てた」
「へえ、飛行機もあったんですか」
「採算取れなくて廃止されちゃったんだよね」
「乗ってみたかったなあ」
「バスみたいな飛行機だったよ、9人乗りの。体重を申告して乗客のバランスで座席が決まるの」
「すげえ、面白い!」
「面白かったよ。運よく外の景色が見える座席だと遊覧飛行みたいなの、窓からの景色が綺麗で」
「マジで乗ってみたかった!って、俺はこの島初めてなんで、船も楽しかったですけどね」
「そっかあ、初めてなんだ。どう?ってまだわかんないか」
「いやあ、でもこの海の色は同じ日本だとは思えないです、凄いです」
「今日は晴れてて太陽の光が強いから、よけい綺麗だね」
「天気によってそんなに違うんですか?」
「全然違う。季節によっても、天気によっても。運がよかったよ!」
運がよかった、か……。
目を細めて海を眺める彼女を見てると、そうなのかもな、という気持ちになってきた。
陰が真っ黒になるような太陽の光の強さと暑さ、そしてこの景色は、頭のなかをシンプルにしてくれる。
今の俺にはありがたかった。と、隣の彼女が立ち上がった。
「じゃあ、私は商店が閉まる前に買い物したいから、これで」
「あ……」
「この島コンビニとかないから気をつけて。じゃ、夕食のときにね」
そうか、同じところで夕食をとれるんだ。
自転車で去っていく彼女を見送ったあと、俺も何か買っといたほうがいいのかな、と思い立ち上がった。
太陽は西に傾きかけていて、いっそうその光は強く、そして黄色味を帯びてきていた。
◆◆◆◆◆
予想どおり、長い!長すぎる!なのでここで一回切ります!
まだ出合ったばっかりだぞ(笑)。
大野さんは、ドラマチックな展開もいいけど、こういう丹念に情景を切り取るような話を見てみたいなあ!と思ってて。
基本淡々と進むんだけど、ちょっとふふっ、と思えるような。意外に合うと思うんだよなあ。
ほんとに序盤で切ってますね、どうしよう、この後もこのテイストでいくとめっさ長くなる(困)。は、端折ろうかな。