<ストーリー・あらすじ>
累計発行部数1000万部を突破する小畑友紀の人気少女漫画を、前後編の2部作で実写映画化。
主演は生田斗真と吉高由里子。
「ソラニン」の三木孝浩監督がメガホンをとる。
クラスの3分の2の女子が一度は好きになる、非の打ちどころのない男子高校生・矢野は、過去に恋人を交通事故で失い心を閉ざしていた。
しかし、明るく前向きで無邪気な七美の存在が次第に矢野の心を開かせていく。
やがて2人はさまざま葛藤(かっとう)を乗り越えて恋を実らせるが……。共演に高岡蒼甫、本仮屋ユイカ。
(「映画.com」より)
ずっと観にいきたいなあと思ってて、昨日ダルいからだをひきずり強行突破してきました。
(そしてゆうべ半分しかばねのようになってました。アホです)
んで、内容の感想の前に、最初にどうしてもこれだけは叫びたい。
高岡蒼佑くん、高校生に見えねー!!!
ずっとずっと高岡くん演じるタケ(矢野の親友)が出てくるたび画面に向かってそう突っ込んでました。
もともとタケって「ほんとに高校生?」というくらい人間が出来てるヤツで。
それと高岡くんがなまじっか演技が上手いのが相まって、も、完全に高校という舞台から浮き上がってるという。
おかげでなかなか作品に集中できなかった(爆)。
このときばかりは自分がツッコミ体質なのを恨みました。同じ体質のかた、ご注意を。
ちなみに吉高由里子ちゃん、本仮屋ユイカちゃんの女子高生姿は、うん、まあアリ。
生田斗真くんのガクラン姿は、少女漫画から抜け出てきたみたいに格好いいから許す!(←何様)
……という感じでございました。
では気を取り直して(?)、内容の感想をば。
(原作既読)
わりあい原作に忠実で、そこから能天気なギャグ要素やシビアさを差し引いた空気感となってます。
漫画もがっつり少女漫画の世界なんだけど、映画はそれをもっと凝縮した感じ。
(だからよけいタケが浮……すいません)
んで矢野がねえ、いいんだわ。
飛びぬけて格好よくて女子にモテていつも注目されてて周りに自然と人が集まってくる人。
これ、見てる側に説得力をもたせるの難しいキャラだと思うんだけど、斗真くん、とっても合ってると思いました。
見た瞬間、「あ、矢野だ」と思ったもん。
七美は原作より少し落ち着いたキャラになってます。
でも彼女の「内面の年相応の子どもっぽさ」はきちんと描かれていて。
ここ作品の要だと思うんです。そういう七美との対比で矢野のどこか達観したところが浮かび上がってくる。
とっても丁寧につくられてると思ったなー。
七美と矢野がつきあい始めたあたり、もうめっちゃ甘酸っぱい!きゅんきゅんする!
描写がとってもリアルなの。絵空事な感じじゃない。
ああ恋愛ってこんな気持ちだよなあ、って見ながらいろんな思い出が蘇ってきたりして(笑)。
だから、過去にこういう気持ちを味わってきた人とそうじゃない人、これ感じかたが違うと思ったなあ。
現役女子高生よりも、むしろ大人のほうが入り込めるような。
斗真くんも吉高ちゃんも上手い!と思いました。
いっぽうでタケ、タケはねえ(遠い目)。
原作の段階から「こんな出来た高校生いねーよ(笑)」と思ってたんですけども(あら言葉が悪い)。
だけど、原作では少なくとも見た目は高校生だったからさ(笑)。
高岡くんの演技は上手いのにタケというキャラはリアルに感じないという、不思議なことになってました。
すごーく若く(幼く)見える人がキャスティングされてたらまた感じかたは違ったと思うな。
ビジュアルって大事だなーと思いましたです。ハイ。
そうそう、山本有里!本仮屋ユイカちゃん!
しゃべらなくても有里が出てくるだけで画面がさっと暗くなる。有里のもつ内面のドロドロした部分が感じられる。
これには驚きました。ユイカちゃんてこんな役も出来たんだ、って思った。すげーな。
後篇、有里がもっとクローズアップされると思うので楽しみです。
個人的には、矢野に感情移入することが多かった(てかほとんど)です。
人間て正しいことばっか出来るわけじゃなくて。とくに弱ったときは。
それがいい方向じゃないとわかってても、一時でも自分がなぐさめられるなら、すがりついちゃうときもある。
男と女なんてとくにそうだよなー。
きっとあのとき矢野には有里が必要で、矢野の言うように過去は変えられなくて。
そこで正直に言っちゃうのが若さのなせるわざ。
自分に正面から向かってくる七美を誤魔化したくない、失いたくない、その気持ちが裏目に出る。
年くっちゃうと、正直に言ったらどうなるか、言う前から結果が見えるからさ(笑)。
この後(後篇)、ハンパに年齢を重ねた矢野が七美の前から姿を消した理由のひとつもそこにある。と思う。
矢野にとって、七美は太陽みたいな存在で。
今まで自分の周りにはいなかった、そのシンプルさと強さが矢野の心をあたためる女の子。
「私は死なないよ」って言い切れちゃう、その真っ直ぐさが矢野の心にすとーんと入ってきたんだろうなあ。
でも母子家庭だった矢野にとって、母親の存在は大きかった。
私生児で自分を産んだ母。妻子ある男を振り向かせるために自分を産んだと語る母。
そこに複雑な感情をもってても、やっぱり彼女を離婚したてでひとりで上京させることはできなかった。
このふわふわしてて現役の「女」感を残した母親役が!麻生祐未がめっちゃ上手い!
こりゃ息子からしたらひとりにさせられないだろーな、って思いました。
つうか矢野の周りには、亡くなった恋人(有里の姉)も含めてそういう人が集まってくる。有里もそう。
んで一緒に堕ちてくんだ、矢野は。そうすることで無意識に自分の存在意義を確認してしまう。
矢野は引き止めてほしかっただろーな、七美に。
その健全さゆえ、彼女は自分をきっと引き止めないとわかっていても。
いやー、いろいろと切なかったです。
ここまでずっと矢野の気持ちになってお送りして参りました(笑)。
エンドロール。この作品にはミスチルの桜井さんの声が合う。
(ただ曲は全くと言っていいほど私の頭には残らなかったのですけども。ご、ごめんなさい)
後篇を2時間という枠のなかでどう料理するのか、今から楽しみです。
オマケ。前篇の舞台になってる釧路って雪が少ないので、七美の「あ、雪」がリアルでした。
同じ北海道でも雪の多い地域であの台詞は出てこないと思う(笑)。